2025.04.30
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「現代マネジメント研究」第2回 小野寺茂樹氏 講義
2025年度 中部学院大学・シティカレッジ関・各務原 公開講座
第2回 ひとに伝える 伝わるとは~放送局で考えたこと
NHK岐阜放送局長
小野寺 茂樹 氏


小野寺氏は学生時代にCDショップでアルバイトをしたことをきっかけに音響の世界に興味を持ち、NHKに入局すると音響効果部に所属。名古屋放送局の編成部音響デザイン、デザインセンター音響デザイン部などで多くのテレビ、ラジオ番組の制作に携わってきた。主な担当番組に朝の連続テレビ小説「すずらん」「純情キラリ」「つばさ」や大河ドラマ「北条時宗」「新選組」があり、愛知万博の「愛・地球博 NHKスーパーハイビジョンシアター」も担当した。
小野寺氏は岐阜放送局で月曜から金曜の午後六時半に放送する情報番組「まるっと!ぎふ」をPRした。番組のマスコットである「ぎふト」「FU-chan」「鵜っかり五平」の三つのキャラクターを示し、「ユーモラスなマスコットに親しんでもらいながら、岐阜の生活情報やイベント情報、さらには防災・減災や戦後八十年の特集番組も伝えている」と説明。最近では岐阜放送局が取材した岐阜市の西柳ヶ瀬のシャッター街が全国放送の「ドキュメント72時間」に取り上げられたことを紹介した。
SNSで情報が氾濫する時代にどう情報と向き合うかについても言及。「ネット社会でカルチャーやエンターテインメントが変化し、脳からドーパミンが分泌するような刺激や面白さ、映像の繰り返しが好まれる」と指摘。「SNSが悪いわけでないが、使う側に問題がある。新聞や放送は感情よりも思考を刺激し、対話を重視する」と述べ、ネットやSNSの利点を生かすと同時に複数のメディアで情報を確認することを勧めた。
小野寺氏が放送文化基金ラジオ番組賞を受賞した作品では「横浜で有名なクレージーケンバンドのボーカル横山剣さんにナレーションを依頼した。本牧や中華街の音、市電などの音響効果を生かし、ヨコハマ愛あふれる番組が出来た」と振り返った。またタモリの「ブラタモリ」と笑福亭鶴瓶の「鶴瓶の家族に乾杯」がコラボレーションした番組では、小野寺氏が音響効果を説明するテレビ映像を紹介。小豆で出す波の音、片栗粉と塩を踏んで再現する雪の音、廃材の録音テープを踏んで出す草の音など音響効果のテクニックを披歴し、会場の学生や市民も興味津々だった。
講義後の質問では「十年後、二十年後にテレビはどうなっているか」「NHKの受信料徴収は続くのか」など率直な質問があった。小野寺氏は「歌やドラマなどリアルタイムでテレビを見たい人も増えている。テレビ文化は残り、そこにネットも加わって、いつでも番組が見られるように変化していくのでは」「受信料を広く負担していただくことで政府や広告主の意向に左右されず、独立性や公共性を維持できている」と答えた。
(文責・碓井洋 写真・野尻信一郎、小林康将)


(文責:碓井 洋 写真:野口晃一郎)