「現代マネジメント研究」第1回 宗次德二氏 講義

2021年度 中部学院大学・シティカレッジ各務原・関 公開講座

第1回「人生は自己責任 ー目標必達を繰り返そうー」

カレーハウスCoCo壱番屋創業者、NPO法人イエローエンジェル理事長、中部学院大学・同短期大学部 客員教授
宗次 德二 氏

講演する宗次德二氏

今年度の「現代マネジメント研究」第1回の公開講座が4月20日、各務原キャンパスで開講されました。同講座は各界のトップリーダーを講師に招き、グローバルな視点とマネジメント能力を持つ人材の育成を目的に開催され、20年近い歴史を誇ります。昨年は新型コロナウィルスの感染症予防のため中止し、2年ぶりの開講となりました。教育学部の学生をはじめ、聴講を希望した市民の皆様を含めて、約100人が出席しました。

公開講座のトップを飾った講師は、カレーハウスCoCo壱番屋創業者で、本学の客員教授でもある宗次德二氏。宗次氏はNPO法人イエローエンジェル理事長、クラシック専用の音楽ホール「宗次ホール」の代表としても活躍されています。

奨学生の代表3人から花束を受け取る宗次氏

講座の冒頭では、宗次氏の長年にわたる本学への支援に感謝するセレモニーが行われました。演壇のスクリーンで奨学金、楽器、ラッピング・バス、宗次文庫など氏による本学への多大な支援の内容を紹介した後、イエローエンジェル奨学金を受けている奨学生が登壇。社会福祉学科の藤井真菜さん、インドネシア人留学生で同学科のヌルシャーバニさん、中国人留学生で幼児教育学科のチョウ・エイキンさんの3人が代表して氏への感謝の言葉を述べ、花束を贈呈しました。

講演で宗次氏は「72歳のこの歳まで生きてきて何がうれしいかというと、私は人の役に立つのが本当にうれしい」と学生たちに語りかけ、「よく趣味は何かと聞かれるが、普通の会社経営者がするようなゴルフや海外旅行、食べ歩きなど、そうした趣味は一切ない。趣味と言えるのは早起きと街の掃除、そして花の栽培です」と日ごろの生活を紹介。「花は今の季節はパンジーやビオラが見頃です。名古屋の広小路通りに花を植え、美しい真っ黄色な花々が咲き誇っている。私は毎朝午前4時前に起き、毎日3時間から4時間ほど花の手入れしている。街の掃除も欠かしません」と述べ、社会奉仕の喜びを語りました。

さらに趣味と呼べるのはクラシック音楽と言い、高校時代の音楽との運命的な出会いに触れた。「中学、高校とお米屋さん、お豆腐屋さんでアルバイトをし、学費を稼ぎながら学校に通った。お金を貯めてクラスの同級生から中古のカセット・テープレコーダーを分割払いの五千円で買った。家のテレビにレコーダーを近づけて録音したが、偶然にNHK交響楽団の演奏を聴いた。その時メンデルスゾーンのバイオリン・コンチェルト(協奏曲)を聴いて心の琴線に触れた。その後もクラシック音楽の魅力にはまり、今では音楽が仕事や事業にもなっている」と話した。

宗次氏は名古屋市でクラシック専用のコンサートホール・宗次ホールを経営している。さらにイエローエンジェルを通じて地元の小学校、高校、大学などに対して「青少年に楽器を贈る運動」を息長く展開。中部学院大学に対しても過去にハープをはじめ多数の吹奏楽の楽器が贈られている。氏は「私にとって寄付は趣味です。音楽への支援も同じで、寄付をすることによって、そのお金からは3倍、5倍の価値が生まれます」と寄付に対する人生哲学を語った。現在、新型コロナ禍もあって生活に困窮する家庭や、満足に食事も取れない子供たちを救うため、「宗次子供支援基金」(仮称)の設立準備も進めているという。

講演する宗次氏

宗次氏の原点とも言えるのが幼少年期の過酷な生い立ちだ。同氏は私生児として施設に預けられ、両親を知らずに育った。引き取ってくれた養父は競輪狂いで、幼少年期から極貧の生活を送った。子供なのに競輪場に連れていかれ、場内に落ちている当たり車券を探した。養父に吸ってもらうため、パチンコ屋で客のたばこの吸い殻を拾い集めたこともある。食事も満足に取れない貧しい生活だったが、それでも養父への愛情を語り、「人間に生まれただけでも幸せ」「不幸だと思ったことはない」と断言する。 53歳の時、世界最大のカレーチェーン店であるカレーハウスCoCo壱番屋の経営を後継者に託し、自らは引退して株式を公開した。得た財産は「これまでに皆さんから頂いた預かりもの。全部お返ししよう」と思い立ったという。NPO法人イエローエンジェルを設立し、理事長に就任。街の清掃、花の栽培、クラシック音楽の振興と演奏家への支援など、その後の人生を献身的な社会奉仕活動に捧げてきた。

誰しも人生には幾つかの転機がある。氏も高校を卒業して就職する18歳の時には自動車学校の教員になりたかったという。しかし、不動産仲介業の会社に就職し、生涯の伴侶となる奥様と知り合い、職場結婚した。その奥様の理解を得て23歳で不動産仲介業から独立し、喫茶店業へ。「25歳で喫茶店を始めたことが私の人生を180度変えた」「全国各地、海外でチェーン展開しているカレー店も、最初は1軒からのスタート。一気に100軒になるわけでもなく、最初は1から始まります」と振り返る。

学生に対しては「まず一つの目標を立ててほしい。例えば起業したい、ITビジネスをしてみたい、介護の道に進みたいーなど何でもいい。皆さんには様々な希望や目標があるでしょう。どんな目標でもいい。平均寿命の80歳代まで生きたい、60歳、70歳代までは働きたいという人もいる。どんなことでもいいから人生設計、ライフプランを立ててください」と力説。「学生のうちは周りの人のアドバイスを受けてチャレンジできる。仮に失敗しても敗者復活は何度でもある。自分はこれなら自信があるというものを見つけ、その道でナンバーワンになることを目指して」と熱く呼びかけた。学生たちは宗次氏の講演の一言ずつをかみしめるように耳を傾けていた。

氏は最後に「長い人生を考えたら、まじめにやり続け、誠実に生きることが一番大切。目標に向かって努力し、それを続けてほしい。学生の皆さんは今、大きく羽ばたくための地力をつける時。今日は皆さんと会えただけでもうれしい。何かと生きづらい社会になり、新型コロナ禍の影響もあるが、目標に向かって良い人生を送ってください」と温かい言葉と激励のエールを届け、学生たちからは感動とともに大きな拍手が送られていた。

別会場で講演を聞く参加者
参加者に語り掛ける宗次氏
宗次氏の講演に耳を傾ける参加者たち

(文責・碓井 洋  写真 野口晃一郎、林賢一)

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