「現代マネジメント研究」第3回 柴橋正直氏 講義

2023年度 中部学院大学・シティカレッジ関・各務原公開講座

第3回 「自治体マネジメントとは」

岐阜市長
柴橋 正直 氏

柴橋岐阜市長を講師に迎えた「現代マネジメント研究」 柴橋岐阜市長を講師に迎えた「現代マネジメント研究」

岐阜市の柴橋正直市長を講師に迎えた「現代マネジメント研究」講座は5月8日に開かれ、学生約120人と一般市民ら約30人が参加。「岐阜を動かす」をキャッチフレーズに中心市街地の活性化や「こどもファースト」の子育て支援に取り組む市長のビジョンと地方自治について学んだ。
柴橋市長は最初に「私の経歴だけを聞くと順風満帆に聞こえるかもしれないが、そうではない。国会議員を経て市長に当選するまでは1勝3敗で、市長となって3勝3敗。政治家としての浪人時代が十年もあった」と切り出し、「政治家にとって浪人は得がたい人生の財産。四月の統一地方選で落選した若手がいるが、その人たちにも浪人の勧めを説いている」と自らの政治哲学を語った。
昨年十一月の「ぎふ信長まつり」では、キムタクこと木村拓哉さんが騎馬武者行列にサプライズ出演して岐阜市を全国にアピールした。その舞台裏について「地元出身の俳優・伊藤英明さんから古田肇県知事に話があった。当初は木村さんの出演を秘密にしなければならず、市議会への説明や警備費の予算計上、事故を未然に防ぐための警察との協議にも苦労した」と振り返った。

中心市街地の活性化について豊富な資料を示して講演する柴橋市長 中心市街地の活性化について豊富な資料を示して講演する柴橋市長

岐阜市政の課題については①街づくり②人づくり③市役所のマネジメントーの三つの大きな柱で説明。街づくりではリノベーション(修復と刷新)の考え方を話し、「再開発ビルの柳ヶ瀬グラッスル35とセントラルパークの金公園の工事が完成したが、箱物や再開発だけでは街の活性化はできない」と指摘。「民間活力が必要であり、月二回のサンデービルヂングマーケットなどで商店街を後押しし、ここ数年で新しい店舗は約百五十店増えた。遊休不動産として二十年以上も放置されていた旧長崎屋跡地も岐阜市で購入し、住民や買い物客が滞在できる公共空間の広場にする。長く衰退が言われた柳ヶ瀬商店街だが、新しいリノベーションが起きている」とこれまでの取り組みを紹介した。
中心市街地で自動運転バスの実用化を目指し、今年秋から五年間、公道での走行実験も行う。信号機とバスを通信でつなぐシステム整備を進め、一定の条件下で運転を完全自動化するレベル4の走行を目指すという。中心市街地の道路空間の利活用にも触れ、『居心地が良く歩きたくなる岐阜市のまちなか』として金華橋通り、長良橋通り、玉宮通りなどの道路空間を市の未来を切り開くセンターゾーンにしたい」と夢を語った。
人づくりでは「これが最も大切な市政のテーマ」とあえて強調。2019年7月、いじめを苦に中学生が自殺した事件について「自殺した生徒のメモ書きを教師がシュレッダーにかけて処分してしまい、全国的にも大きく報道された。事件を契機にすべての小中学校にいじめ対策監を配置した」と説明。「教育関連の条例改正や教育大綱の策定も行った。公教育検討委員会に答申を出してもらい、教育長人事にも反映させた」と自ら率先して学校現場の改革を進めたという。「不登校対策では不登校特例校の草潤中学校を開校し、児童生徒が担任教師やカリキュラムを選び、学び方と時間、場所を自分で選択できるようにした。草潤中の定員は四十人だが、オンラインでも支援できる。このノウハウを地域の学校に広げるため、本年度は中学五校に草潤中の分教室を整備する。また藍川地区では小中一貫教育をモデル的に行い、旧来の管理型義務教育の在り方を見直したい」と「こどもファースト」の支援策を熱く語った。

いじめ問題や不登校児童の対策などを熱く語る市長 いじめ問題や不登校児童の対策などを熱く語る市長

柴橋市長は「市長は選挙で変わるが、市長が変わっても革命ではなく、行政には継続性というものがある。最初の市長選で私は駅前再開発を公約の第一に掲げていたが、当選後は市職員の声も聞き、柳ヶ瀬再開発を優先した。また市は県とがっちり手を携えるべきだと考え、市長選の立会演説会で県との連携を強く訴えた。それは知事へのメッセージでもあった」と述べ、首長としてのマネジメントの心構えを披歴。さらに「市役所は正規職員、アルバイトも含めると六千人もいる巨大組織。市長がオールラウンドで先を見通しながらマネジメントしている。私は三度の飯より政治が好きだが、自分がこれだと思う政治の仕事に市長として取り組んでいる。皆さんもやりたいことを自分で見つけるため、これから四年間の大学での学びを有意義なものしてほしい」と学生にエールを送った。
講演後、学生からは「市議会や市民からたくさんの要望があると思うが、そうした声を聴くために何を心がけているか」「岐阜市の観光で県外の人に市長が薦めたい特別な場所はどこか」などと活発な質問が出されていた。

 

(文責 碓井 洋、写真 野口晃一郎)

熱心に講義に耳を傾ける学生たち 熱心に講義に耳を傾ける学生たち
講演後、講師と片桐理事長、片桐学院長、両学長らが記念撮影 講演後、講師と片桐理事長、片桐学院長、両学長らが記念撮影

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