「現代マネジメント研究」第5回 中村源次郎氏 講義|中部学院大学・中部学院大学短期大学部ホームページ

「現代マネジメント研究」第5回 中村源次郎氏 講義

2021年度 中部学院大学・シティカレッジ各務原・関 公開講座

第5回 「ミツバチ社会とSDGsの親和性」

株式会社秋田屋本店代表取締役社長
中村源次郎 氏

講演する中村源次郎氏

7月6日(火)第2限、第5回の「現代マネジメント研究」講演会を開催しました。今年でちょうど二十周年を迎えたこの講座は、短期大学部の経営情報学科に設けられた科目で、開設間もない頃から市民の皆様方のご要望にお応えして一般公開してきたものを、各務原キャンパス開校の平成18年度から経営学部と、20年度から大学及び短期大学部と各務原・関両シティカレッジとの連携事業としたものです。

今回講師をお願いしたのは、株式会社秋田屋本店の社長であられる九代目中村源次郎氏です。当初、5月25日を計画していましたが、コロナ感染症予防にかかる本学の授業体制の変更により急遽この日に延期をお願いしたところ、県薬事審議会委員や県製薬協会長、県フェンシング協会長など実に多くの公職等をお持ちにも関わらず快諾をいただきました。改めて感謝申し上げます。

本学の古田学長が開会の挨拶を述べたあと、氏のお話は、岐阜済美学院との関わりからはじまりました。ご自宅が済美高校のすぐ近くで、学校の雰囲気がよく伝わってくることや、スクールバスでお世話になっている株式会社エスラインの社外取締役にお就きであることなど、日頃から本学院や大学・短大への親近感をお話いただき、学生諸君も、氏を身近に感じたことと思います。

さて、秋田屋本店の創業は217年前の文化元(1804)年で、この頃は秋田杉を商う材木商を営んでおられましたが、明治20(1887)年に6代目中村源次郎氏が養蜂部を創設され、現在では、ミツバチ産品を始め養蜂資材の製造販売を中心に広く国内外に商圏を拡げておられます。

ミツバチは、その働きから3種類に分類されます。雄(お)蜂(ばち)、女王蜂、働(はたらき)蜂(はち)で、雄蜂の役割は、専ら女王蜂との交尾です。無精卵から産まれる雄蜂は、厳しい競争に勝ち残れず、役目を果たせなかった者が巣の中でぶらぶらしていますが、やがてエサの少ない秋になると、働蜂たちによって巣の外に追い出されてしまいます。

一方、受精卵から産まれた卵は、その場所が巣房か王台かによって働蜂か女王蜂に分かれます。女王蜂にはローヤルゼリーだけが与えられ、働蜂には、産まれて3日くらいはローヤルゼリーが与えられますが、その後、花粉や蜜が与えられて育ちます。

働蜂は21日間で成虫になり、まず巣の中の掃除、やがてローヤルゼリーを分泌して幼虫や女王蜂に与えます。そして、ミツロウというワックスを分泌して巣を作ります。さらに、外で働く働蜂が集めてきた花粉や花蜜を受け取って、固めたり濃縮・貯蔵したりして、内勤の仕事をします。その後門番(門衛)の仕事を経て、外勤蜂として巣の外に出て蜜や花粉を集めます。働蜂は、見事な日齢による分業体制をとっています。季節により差はあるものの寿命の約3か月間(1か月~6か月)を一生懸命働き続け、そしてひっそりと死んでゆくのです。

ミツバチの社会はこのように、一匹の女王蜂を中心にして雄蜂と働蜂(雌蜂)が組織として集団生活を送る「蜂(ほう)群(ぐん)」という共同体です。女王蜂が誕生すると、1週間後から空中で10匹前後の雄蜂と交尾し、多い時には1日に2000個も産卵をし、共同体を大きくします。その後、蜂群が大きくなり、さらに蜜や花粉がその先十分に入り、新しい女王蜂が誕生する条件が整うと、古い女王蜂は、半数近い働蜂を引き連れて巣を出ます。これを巣分かれ(分蜂)といいます。

ミツバチから私たちが受けている恩恵は、生産物としての「はちみつ」「ローヤルゼリー」「プロポリス」「花粉(かふん)荷(か)」(花粉のだんご)「ミツロウ」、それに「蜂針」(ミツバチの針の療法)があります。
講演する中村氏

実業家である中村氏は一方でまた、研究者として「プロポリス」の研究に力を注いでおられ、医学博士としての目標は、プロポリスの「薬」としての活用だそうです。プロポリスは、ギリシャ語の「プロ」(前・守る)と「ポリス」(都市)に由来し、ミツバチが樹の芽や樹皮などから集めた樹液に自身の分泌物を加えて作るヤニ状の物質で、巣箱の隙間や入り口に塗り込めています。昔、業界では、これを「蜂ヤニ」と呼んでいました。巣の中の殺菌や、外部からの細菌による汚染を防ぐなどの働きがあって、人間にも自然治癒力を高め、免疫力や抵抗力をつけて、病気の予防や体質改善に効果があると考えられています。

また「はちみつ」は、ショ糖を主とする花蜜が、蜂の体内で二つの単糖類、ブドウ糖と果糖に分解され、吸収効率がよくなったものです。“Honey moon”や「リンゴとはちみつ」のコマーシャルなどでおなじみですが、旧約聖書に「乳と蜜の流れる地」の記述があるように、乳との相性がとても、よく健康維持・栄養補給などが報告されています。

さて、SDGs(持続可能な開発目標)では17の目標が掲げられていますが、そのどれもが、地球環境の保全を抜きにして考えることができないものばかりです。なかでも地球温暖化防止と十分な食料生産はその基礎で、これら植物の生育・繁栄に不可欠な花粉の媒介に、ミツバチは大きな貢献をしています。媒介の重要な役割を担っているのが「虫媒」で、とりわけミツバチによるそれは、人間にとても優しく、「ポリネーション」(花粉交配)の主力といっても過言ではないでしょう。虫媒の70%はミツバチによるのですから。

このように考えると、アメリカでは、養蜂の第一義をポリネーションにおいている意味がわかります。CO2を減らすには「出さない努力」と「植物がCO2を取り込み、O2に変える」方法があります。ミツバチは後者に多大な貢献をしているのです。私たちはこれを「緑の源」と呼んでいます。

いま、日本に流通している蜂蜜の約80%は中国産で、国産はわずかに5%です。中国では、福州市にある福建農林大学がこれの国におけるミツバチ研究の拠点です。日本と中国の養蜂における交流の歴史は古く、貴重なはちみつを提供してくれている中国を大切なパートナーとして更なる交流を進めたいと思っています。

講演後、片桐学長がミツバチの持つ魅力と、新しい発見についての謝辞を述べ、盛会のうちにお開きとなりました。

(文責:今井春昭  写真:林賢一、野口晃一郎)

関連情報

新型コロナウイルス感染症への対応について

新型コロナウイルス感染症への対応について

人間福祉学部7月オープンキャンパスレポート

人間福祉学部7月オープンキャンパスレポート

第21回ぎふLD・ADHD等学習会

第21回ぎふLD・ADHD等学習会