「現代マネジメント研究」第7回 若井あつこ氏 講義|中部学院大学・中部学院大学短期大学部ホームページ

「現代マネジメント研究」第7回 若井あつこ氏 講義

2022年度 中部学院大学・シティカレッジ関・各務原 公開講座

第7回「現代社会におけるスポーツの使命とは」

岐阜県議会議員・中部学院大学空手道部監督
若井 あつこ 氏

壇上で力強く空手の形を披露する若井あつこ氏 壇上で力強く空手の形を披露する若井あつこ氏

「現代マネジメント研究」第7回の公開講座が7月11日、関キャンパスであり、県議会議員で、本学の空手道部監督を務める若井あつこ氏が講演しました。同講座は各界のトップリーダーを講師に招き、グローバルな視点とマネジメント能力を持つ人材の育成を目的に開講しています。教育学部、人間福祉学部、短期大学部の学生や一般市民ら約130人が参加し、空手道部員12人も聴講しました。
空手の道着姿で元気いっぱい登場した若井氏は、空手道部の学生6人を登壇させ、デモンストレーションで「形」と「組手」を披露。学生の力強い演武が大きな拍手を浴びました。空手道部は済美高校と中部学院大学で2018年(平成30年)に創部され、全国大会、国民体育大会に出場。若井氏の指導の下、第65回全日本学生空手道選手権大会には14人が出場したほか、本年度は日本代表のナショナルチームに女子選手1人が選ばれています。
続いて中央のスクリーンに「世界の女王 怒涛の4連覇」の映像が流れ、若井氏が2004年(平成16年)にメキシコで行われた世界空手道選手権で4連覇を達成したシーンが紹介されました。「スーパーリンペイ」の大技で成し遂げた偉業ですが、若井氏は敗者のシュクドラレック選手の健闘もたたえ、人柄がうかがえました。
若井氏の空手人生は決して順風満帆だったわけではありません。4歳の時に暴走バイクに跳ね飛ばされ、頭蓋骨や脊髄を損傷する大けがをしました。リハビリテーションのため、小学生から近所の空手道場に通い始めたのが空手との出会いでした。小学生から大学までは競技大会での目立った活躍はなく、平凡な選手だったと言います。そんな若井氏が変わったのは、あこがれの先輩選手から掛けられた「ナショナルチーム(日本代表選手)に入りたくないの?」という一言でした。
心ひそかに「ナショナルチームの選手になり、いつか胸に日の丸を」という夢を抱いていた若井氏は、この言葉に一念発起して猛特訓を始めます。建設会社のOLをしながら、朝は通勤時にランニング、職場では机の下に隠したチューブで筋力強化、そして終業後も社内の資材倉庫で黙々とトレーニングを続けました。この努力の結果、念願のナショナルチームの選手に選抜。そして3年後の1998年(平成10年)にはブラジル大会で世界選手権に初出場し、見事初優勝を果たしました。さらにドイツ、スペインと破竹の三連覇を果たし、若井氏の「不敗神話」が生まれます。

「負けない心が本当の強さにつながる」と語りかける若井あつこ氏 「負けない心が本当の強さにつながる」と語りかける若井あつこ氏

「世界選手権の初優勝は27歳の時。周囲からは遅咲きのチャンピオンと呼ばれたが、夢に到達する近道は一つだけではない。むしろ遠回りが目標への近道になることもある」「何かに気付き、行動に移した時が適齢期」と若井氏。「限界は自分が作ったもの。どんどん越えていける」と学生たちを鼓舞しました。
しかし、そのまさに絶頂期に若井氏に最大の試練が訪れます。2003年(平成15年)の静岡国体の初戦で、無名の選手にまさかの敗退を喫しました。空手の指導者の一人でもあった対戦相手のコーチが歓喜する姿を見てショックを受け、会場のどよめきに「それまで築き上げてきたものが壊れ、何もかも嫌になった」と当時を振り返ります。屈辱の体験の中で、別のライバル選手のコーチから「若井、いま泣いちゃだめだ。頑張りなさい」という励ましの電話があり、若井氏は号泣したと言います。「最初から強い人、永遠に勝ち続ける人はいない。本当の強さとはころんでも立ち上がる人。負けない心が本当の強さだ」と気づき、初心に帰って猛特訓を再開します。そして以後の大会で勝利を重ねて復活を遂げ、メキシコの世界空手道選手権で4連覇を達成しました。この記録は「ギネス世界記録」にも認定されており、認定書が会場で披露されました。
若井氏は指導者としても大きく羽ばたきます。2012年(平成24年)、岐阜県で国民体育大会「ぎふ清流国体」が開かれることになり、西濃運輸空手道部監督に就任。岐阜県は国体の総合優勝を目指しており、得点源として一から空手部を作ることに挑戦します。部員のスカウトから始まり、悪戦苦闘しながら有力選手を育成。結果として空手道競技の総合優勝の一翼を担い、選手を鍛え育てる指導者の立場を確立しました。
若井氏は「敗北は屈辱だが、そこから立ち上がることができれば価値がある。学生の皆さんは結果を怖がらず、前を向いて進んでほしい。デジタル化時代でも人との絆や経験は大切。痛みを経験することは、他人の痛みを分かり、痛みを共有できる」とアピール。「新型コロナ禍で不自由な生活を強いられているが、コロナの先の希望ある未来に向けて一緒に前に進みましょう」と力強く呼びかけ、会場から大きな共感の拍手が送られていた。

学生6人が登壇して行われた空手の演武 学生6人が登壇して行われた空手の演武
若井あつこ氏と空手道部の学生たち 若井あつこ氏と空手道部の学生たち

                                                                                    (文責:碓井 洋  写真:野口 晃一郎)

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