現代福祉マネジメント:不登校・ひきこもりから社会的孤立を考える

不登校・ひきこもりから社会的孤立を考える

写真は昨年のものです。

 64日、人間福祉学部 地域公開授業「現代福祉マネジメント」にて、NPO法人仕事工房ポポロ理事長中川健史氏のお話しを聴きました。
 若者、氷河期世代、8050問題、ヤングケアラ—など孤立化が進む中で、30年以上にわたり支援活動を続けてこられたお話から、学生たちは多くの感銘を受けました。
 以下は、その感想の一部です。

 

 

【学生の感想】

中川健史さんのお話を通じて、あらためて「社会的孤立」という問題の根深さと、私たち一人ひとりにできる支援のあり方について考えさせられました。特に印象に残ったのは、「不登校やひきこもりは、個人の問題ではなく、社会全体のあり方が背景にある」という視点です。本人の意思や努力だけではどうにもならない事情——家庭環境、学校との関係、社会の目線や制度の壁など——が複雑に絡み合っていることを、中川さんは具体的な支援活動の現場からわかりやすく伝えてくださいました。また、「安心してつながれる居場所」や「自分のペースで働きながら成長できる場」の重要性についても、深く納得しました。支援とはただ「助ける」のではなく、その人が自分の力で歩き出すための「土台を整える」ことなのだという考え方に共感しました。中川さんの言葉の中に、「困っている若者の中にこそ、社会を変えるヒントがある」というものがありました。この言葉はとても力強く、同時に私たちが耳を傾けるべき声の大切さを教えてくれるものだと感じました。
 今後、私自身も、無意識のうちに「普通」や「当たり前」という価値観で誰かを孤立させてしまっていないか、日々意識しながら、人との関わり方を見つめ直していきたいと思います。そして、孤立に苦しむ人たちが少しでも安心して暮らせる社会づくりに、自分なりに関わっていけたらと強く感じました。 
人間福祉学部 2年  NK

「関係性の再構築」という概念に深く共感した。特に「居場所とは『評価を受けない空間』である」という言葉が印象的だった。学校や職場で「生産性」を求められる現代社会では、息抜きできる場が極端に少ないと気付かされた。また、中川氏が「10年かかっても良い」と語った長期支援の事例から、福祉の本質は「効率」ではなく「持続的な伴走」にあると学んだ。今後は福祉マネジメントを学ぶ中で、数値目標だけでなく「人の繋がり」を如何に設計するか考えていきたい。
人間福祉学部 3 留学生 MT

この授業を聞くまで、正直に言うと、それまで「不登校」や「ひきこもり」という言葉を聞いても、どこか自分とは関係のない問題のように思っていました。でも、話を聞くうちに、これは私たち一人ひとりに関係のある「社会の問題」だと気づかされました。私は外国人として日本で生活しています。言葉や文化の違いに戸惑ったことも多く、「うまく社会の中に入れていない」と感じたこともあります。そういう経験があるからこそ、社会から孤立してしまう人の気持ちが少しだけ分かる気がしました。日本では「こうでなければならない」というルールや空気が強いと感じることがあります。それはときに、人を優しく包むのではなく、排除してしまうものにもなり得るのだと思いました。この授業を通して、私は「理解しようとする姿勢」の大切さを感じました。誰かを変えようとするのではなく、まずはその人の声に耳を傾けること。無理に何かをさせるのではなく、そっと寄り添うこと。これは日本人でも外国人でも、人として同じだと思います。
人間福祉学部 3  留学生 OM

世間が不登校や引きこもりについて話題にしていない時、不登校や引きこもりの当事者やその家族について「親の育て方が悪い」とか「学校に行きづらい傾向が生まれながらに本人にある」といった本人やその家族に責任があるような悪いイメージや差別的な印象が長い年月が経った今でも続いていると感じました。さらに、現代の「8050問題」の背景には就職氷河期の時代で職に就くことができなかった人や、奨学金をもらって大学は出たけれどそのまま借金になってしまったなどといった社会的な背景があることを知りました。私も小学校時代人間関係が上手くいかず、「学校に行きたくない」と思っていた辛い時期がありました。特に夏休みなどの長期休みのあとは余計に学校に行きたくないと思っていました。学校のことを考えると吐き気や下痢になり病院に行ったけど特に異常なく、家族や親戚からは「学校をサボりたいだけでは?」という言葉や「そんなに学校休んだら進学できなくなるよ」と何度も言われ、泣きながら学校に行っていたという記憶があります。確かにそういった不登校や引きこもりに対しての政策は増えている印象はあるけれど進学するときの選択肢の幅が狭かったり、引きこもりや不登校に対しての差別や偏見があったりするなどまだまだ足りていないと感じる部分があると思いました。そして「存在しているだけでいい」、自分に居場所があると感じられる場所が1つでもあるだけでとても心が軽くなると思うので、そうした活動がもっと広まればいいなと改めて感じました。
人間福祉学部 2  SM


中川健史さんのお話を聞いて、改めて社会的孤立という問題の根深さと、その背景にある多様な事情に目を向けることの大切さを痛感しました。単に不登校やひきこもりと聞くと、表面的な状態にばかり目がいってしまいがちですが、その背後には、本人の生きづらさや家庭環境、学校や社会の価値観の押し付けといった複雑な要素があるのだなと知りました。中川さんが紹介されていた実際の支援現場での取り組みは、非常に印象的でした。たとえば、本人のペースに合わせて関係性を築くことや、無理に社会復帰をさせるのではなく、まず安心できる居場所を提供することの重要性など、支援の姿勢がとても丁寧でとてもやさしいなと感じました。また、ひきこもりという言葉自体がレッテル化し、当事者を一層孤立させてしまう危険があるという指摘にも深く納得しました。社会が一方的に正しい生き方や成功の形を押しつけてしまっている中で、その価値観に当てはまらない人々を排除する構造そのものに目を向ける必要があると感じました。
人間福祉学部 2  IS


 

 


関連情報

「ひなまつりってなぁに?」 ~地域の親子と一緒に行事(ひな祭り会)を楽しみました~

「ひなまつりってなぁに?」 ~地域の親子と一緒に行事(ひな祭り会)を楽しみました~

2024年度 卒業論文発表会

2024年度 卒業論文発表会

Let's Enjoy English! 各務原市の小学生たちとの英語あそび

Let's Enjoy English! 各務原市の小学生たちとの英語あそび