経営学部

「現代マネジメント研究」第5回 若井敦子氏 講義

2019.06.18

2019年度 中部学院大学・シティカレッジ各務原/関 公開講座

第5回 『現代社会におけるスポーツの使命とは』
岐阜県議会議員・中部学院大学空手道部監督 若井敦子 氏

若井敦子氏

若井敦子氏

講義をする若井氏

質問をする学生

学生と若井氏

6月18日(火)第2限、第5回の「現代マネジメント研究」講演会を開催しました。二十年に及ぶ歴史を持つこの講座は、短期大学部経営情報学科時代からの伝統ある授業の一つで、市民の皆様方のご要望にお応えして一般公開してきたものを、各務原キャンパス開設の平成18年度から、経営学部とシティカレッジ各務原・シティカレッジ関との連携事業とし、さらに昨年度からは全学対象の「中部学院大学公開講座」として実施しています。
講師をお願いしたのは、岐阜県議会議員で、本学の空手道部監督であられる若井敦子様です。氏はこの4月に行われた岐阜県議会議員選挙で再選を果たされ、2期目の4年間を始められたばかりです。
お忙しい中をお越しいただきましたが、最初から空手道着にて登場されました。会場にどよめきが起こりましたが、古田学長のご挨拶とともに静まりかえり、ご講演は元気のよい互いの挨拶で始まりました。間もなく姫路市で開催される全国大会に参加する部員達も最前列で聴講です。

スクリーンにストップモーションで「若井敦子 世界の女王 怒濤の4連覇」の文字が投影されている前で、氏は「100人がエントリーした試合で、負けないのは1人だけ。」と語り始めました。「しかも、その一人だけの勝者だって永久に勝ち続けることはできない。」と。

アスリートとして勝たねば意味がないという雰囲気が漂っていたかつての若井さんはどうしたのでしょうか。少し様子が違います。
2004(平成16)年のメキシコ・モンテレイでの世界空手道選手権。4連覇達成の瞬間を映し出す映像からは、勝つために闘う勝者若井さんと、敗者シュクドラレック選手に対する深い思いやりのこもった礼を交わす若井さん、この二つの若井さんを同時に読み取ることができました。
氏は以前から「本当の強さとは何か」「空手道の完成とは何か」を求め続けてこられたに違いありません。モンテレイは、無敵の若井選手がたどり着いた、一つの結論だったのではないでしょうか。ギネス認定証を持つ絶対的女王の雰囲気が今回は柔らかめです。(写真)

「人間としての成長を願う空手道の完成」こそ、若井神話・不敗神話を生んだ無敵の若井選手がたどり着いた、真の頂上だったということでしょうか。
氏は、ご講演の中で何度も、「何かに気づき、行動に移したときが適齢期」、「限界なんて、自分が作ったもの。どんどん越えていける」と述べられました。
講義に参加してくれた空手道部の5人のデモンストレーション、あるいは先生が経営学部4年生の山口泰市君相手に形の意味の説明、演武を披露していただきましたが、会場は一瞬静まりかえり、その後どっと沸き、大きな拍手がおこりました。

氏の空手道人生は苦難の連続だったようです。4歳のときにバイクに跳ね飛ばされて頭蓋骨・脊椎などを損傷。長い入院生活に始まり、小学校1年生から大学まで負け続けた空手の道と、会社の倉庫で涙をこらえて稽古に励み目指したナショナルチームへの夢の挫折・限界、2012年の岐阜清流国体で天皇杯・皇后杯獲得を依頼されてのチーム作りと空手競技での優勝などなど。苦労のすべてを乗り越えて、最後には次々と目標を達成されるご努力の連続に、会場は固唾をのんで聴き入っていました。

しかし、氏の最大の試練は、全日本選手権8連覇、世界空手道選手権も3連覇という絶頂期に訪れました。
2003(平成15)年の第58回静岡国体において、無名の新人に初戦で敗退してしまったのです。
このとき起こった会場のどよめき、それまで築き上げてきたありとあらゆるものが壊れてしまったのです。
この屈辱の体験の中で、「若井、今泣いちゃだめだ、がんばりなさい」とだけ励ましてくれたライバルのコーチの声。声をあげて泣きながら、「何かに気づき、行動に移したときが適齢期」、「限界なんて、自分が作ったもの。どんどん越えていける」を呼び起こし、たどり着いたのは、「勝つだけでいいのか、いかに生きるかが大切ではないか」でした。

敗戦から何かを生み出す、他者の痛みを知ってこそ他人に優しくなれることを知った若井さんは、翌年の世界選手権4連覇をこうした悟りの中から産みだしたといって過言ではありません。
「経験は力になって優しさに変わる。優しさや思いやりは大切なものを守る力に変わる」艱難辛苦を乗り越え、さらに新しい生き方を求め続ける若井さんに最もふさわしいことばでしょう。

最後に片桐学長が、心を打つことばと話しぶりに感涙したことをお礼のことばに代えて閉会しました。
氏の、あの輝くような瞳が、政治の場で一層光を益すことを願ってやみません。

現代マネジメント研究第5回の様子

(文責:今井春昭、 写真:林賢一・野口晃一郎)

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