経営学部

「現代マネジメント研究」第4回 阿部和久氏 講義

2019.06.11

2019年度 中部学院大学・シティカレッジ各務原/関 公開講座

第4回「いまこそ、新聞の出番」
中日新聞岐阜支社 支社長 阿部和久氏

阿部和久氏

6月11日(火)第5限、第4回の「現代マネジメント研究」講演会を開催しました。二十年に及ぶ歴史を持つこの講座は、短期大学部経営情報学科時代からの伝統ある授業の一環で、市民の皆様方のご要望にお応えして一般公開してきたものを、各務原キャンパス開設の平成18年度から、経営学部とシティカレッジ各務原・シティカレッジ関との連携事業としたもので、昨年度からは全学対象の「中部学院大学公開講座」として実施しています。

講師をお願いしたのは、中日新聞岐阜支社長の阿部和久様です。氏は富山市八尾のお生まれで、北陸本社、大津支局、名古屋本社地方部長、三重総局長などを歴任され、一昨年6月から現職であられます。

講義をする阿部氏

220名の学生・市民の皆様を前に古田大学学長のご挨拶で始まった今回のご講演、氏のお話はまず、「私はもともと新聞記者。書くのは得意だが喋るのは苦手。」でした。小学校4年生のとき、全国作文コンクールで優秀賞を獲得、地元の新聞に紹介されたのが嬉しく、この道にに進まれたきっかけとのこと。大学も文学部社会学科新聞学専攻で、まさにこの道一筋という方です。

現代マネジメント研究第4回の様子

そんな氏が、新聞が読者に届くまでの一日を紹介されたあと力説されたのは、新聞(記者)は起こった事実を書いておしまいなのではなく、その事実の裏に眠っている事実を正確に社会(読者)に伝えたり、自らが掘り起こし、書かなければ表に出ないような真実を書くことの重要性です。

そのためにはまず、新聞に係わる者には、「新聞こそが社会への関心を誘う媒体である」という信念のもと、「何事にも疑問を持ち、おもしろがる観察力」を持ち続け、やがては「異質なものへの理解と寛容」を身につけることが求められるというのです。

この姿勢はしかし、新聞記者だけではなく、私たち国民全体にとって、今後予想される外国人労働者の急増や、激増しているインバウンド(訪日外国人旅行者)への対応力として重要です。「いまこそ、異質なものへの理解と寛容」が大切な時代なのです。

さて、氏の第二の力点は、「新聞、とりわけ地方紙は民主主義の根幹である」ということです。ロスアンジェルス郊外のベルという町で起こった、市幹部による給与の不正値上げの要因を「この地方の地方紙の廃刊」に求める声は少なくありません。
いま、全世界で地方紙の廃刊が続いています。我が国では、ここ10年でその発行部数が約1000万部減少して3880万部になっていますし、アメリカやイギリスでも同じ現象が起こっています。その原因は明らかに「紙」以外のメディアの台頭でしょう。とりわけ、インターネット社会の普及は目覚ましいものがあります。

質問する学生1

質問する学生2

質問する学生3

フェイクニュースの席巻はその一例です。ネット社会の黎明期には、「正しい情報は偽情報を駆逐する」といわれていましたが、SNSの爆発的な拡がりにより、それどころではなくなったようです。何気ない嘘の投稿が一瞬にして世界中に拡散し、社会を混乱に陥れるのです。「ローマ法王がトランプ氏支持を表明した。」はその典型例といえるでしょう。
しかし、フェイクニュースを規制すればそれで済む問題でもなさそうです。「規制」は「特性」をも損なってしまうのです。多様な言論が否定され、ものの見方が単一的になり、巨悪を生かす ことにも繋がるのです。
ここに新聞の出番があります。鍛えられた記者が徹底した取材により事実を見極め、新聞社で多くの眼を経て、そして報道する、新聞はむしろこれからの新しい報道の在り方を示唆しているのではないでしょうか。「いまこそ、新聞の出番です」。

最後に、「伝わる文章の書き方」を語っていただきました。
何を書くかを決めたら、①結論から書く ②一文は短くテンポ良く ③分かり易く。そして③は、主語と述語をはっきり、修飾語と被修飾語を近くに、堅苦しい表現を避けて が極意だということです。
お礼の挨拶に立った片桐短大学長は、体験したいくつかの会議における「紙」資料の持つ意味や大切さに触れ、新聞は重視すべき典型的メディアであると評しました。

(文責:今井春昭、 写真:林賢一・野口晃一郎)

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