経営学部

「現代マネジメント研究」第3回 林里榮子氏 講義

2019.05.28

2019年度 中部学院大学・シティカレッジ各務原/関 公開講座

第3回「100年をまもり、次の100年をつくる」
株式会社 蔵元林本店 代表取締役社長 林里榮子氏

林里榮子氏

5月28日(火)第2限、第3回の「現代マネジメント研究」講演会を開催しました。
この講座は二十年に及ぶ歴史を持つ、短期大学部経営情報学科時代からの伝統ある授業です。スタート以来、市民の皆様方のご要望にお応えして一般公開してきたものを、各務原キャンパス開校の2006(平成18)年度から、経営学部とシティカレッジ各務原・同関との連携事業としたもので、昨年度からは全学対象の「中部学院大学公開講座」として実施しています。

講師をお願いしたのは、株式会社 蔵元林本店の代表取締役社長の林里榮子氏です。氏は11年前の2007年12月に5代目当主となられ、来年100周年を迎える老舗を背負って立たれました。那加中学、岐阜北高校を経て東京農業大学醸造学科を卒業され、キリンビールにお勤めにになりましたが、突如、幼いころからの思いが実現してしまったのです。

質問をする学生1

質問をする学生2

若くして社長の座に就かれたことを一同いささか不思議に思いましたが、お話を伺うにつれてその理由がはっきりしてきました。
酒類の販売(卸売・小売)90%、酒造10%の比率であった本店を「リスタート・脱三足の草鞋」を標榜して酒造一本、しかも女性でも活躍できる蔵に大変換しようとしたのです。マスコミの一部は「林里榮子の挑戦が今始まる!」と賞賛しましたが、酒造の大前提である「得意先(販路)なし、品質向上に欠かせない酒蔵文化(技術)なし」の大きな壁に直面してしまいます。しかし、(後半の学生からの質問「苦しかったことは何ですか?」に)苦しかったかもしれないけど、大変ではなかったとのこと。氏の持ち前のポジティブな気質と、技術には絶対的な自信を持つておられたことがそう言わせたのかも知れません。

販路の開拓の第一は「ブランドの立ち上げ」でした。実在の風景と地域の誇りを考えたとき最初に浮かんだのが「百十郎」でした。郷土が生んだ歌舞伎役者の市川百十郎が残した新境川堤の百十郎桜にちなみ命名し、バラエティに富んだラインアップを考案しました。また、歌舞伎の隈取りのデザインを色で区別し、「黒面」、「赤面」「G-mid」などを発表、時と場所を選べる商品展開としたのです。しかし一方で、酒造用の米を作っていた初代(曾祖父)林栄一氏にちなむ「榮一」の銘を残して伝統を守ることも忘れてはいません。

知り合いがほとんどゼロの初期には、全国の地酒専門店へのテレアポの毎日が続きました。face to faceのコミュニケーションを重視した氏の説得力は、ご講演中も随所で垣間見ることができました。学生諸君の反応が徐々に良くなり、やがて講演中に講師と学生との楽しい会話が成立するようになったのです。氏の販路拡大の手法を彷彿させました。

一方、品質向上には秋田県の酒蔵天寿酒蔵の元杜氏から「今日よりも明日の仕上がりが必ず上回る酒造り」を教えられました。かくして、2018年には社長就任の年の6倍の売り上げを達成、特に海外や関東での伸びが注目されています。

蔵元林本店の挑戦は100周年以降に向かって続きます。一定温度で酒造過程を管理し、年中フレッシュな酒を提供するなどの「酒質の向上」、早出作業なし・定時帰宅などの「働き方改革」、研修生の受け入れやパンと日本酒などのフードペアリングに代表される「モノからコトへ」の発想転換、のほか、ユニクロなどとのコラボレーション、ハイボール専用の日本酒「飛沫」(しぶき)の開発、ロック専用の日本酒「NEO LEMON」「NEO MINT」の発売など、日本酒の新しい世界を創り出そうとしています。

現代マネジメント研究第3回の様子

岐阜県・各務原という水と米の産地に恵まれ、幼稚園の卒業アルバムに「酒屋さんになる」と書いた酒蔵の娘さんの想いは「世界の日本酒」目指し、人を育て、蔵元ネットワークを通じて日本酒文化を育てるところまできています。

質問者

質問者

質問者

質問者

質問者

質問者

質問者

とても魅力的な授業でした。醸造学科で獲得された最新の技術と、時代の変化に柔軟に対応されるお人柄、劇的な社業の改革を成し遂げられた軌跡を学ばせていただいた70分でした。
質問や感想がとても多く、今後、本学との何らかのコラボレーション実現に期待を抱かせていただくような企業の魅力を教えていただきました。

(文責:今井春昭、 写真:林賢一・野口晃一郎)

ページの先頭へ戻る