経営学部

「現代マネジメント研究」 第7回 片桐千華氏 講義

2017.07.12

2017年度 経営学部・シティカレッジ各務原/関 公開講座

第7回『世界のお客様に「美と幸せ」をお届けするために』
株式会社資生堂 グローバルイノベーションセンター グループマネージャー
理学博士 片桐 千華 氏

講師の片桐千華氏
片桐千華 氏

8回シリーズの第7回は7月12日(水)、株式会社資生堂グローバルイノベーションセンターのグループマネージャーで理学博士の片桐千華氏をお迎えし、「世界のお客様に『美と幸せ』をお届けするために」と題してご講演いただきました。経営学科、社会福祉学科美・デザインコースの学生諸君をはじめ、市民の皆様方など約250人がお話を拝聴しました。

皮膚の保湿力を測定する様子氏は岐阜市のお生まれで、北海道大学理学部理学研究科から資生堂に入社され、カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校の医学部で2年間、皮膚についての研究を重ねられました。
皮膚科学の領域は、いま、とても注目されている分野です。豊富な資料や高価な商品サンプル、肌のバリア機能を測定する器械(写真右)などを駆使しての、とてもわかりやすいご講義でした。

講義内容についての選択式問題に挙手で回答する様子化粧品は、皮膚科学を中心として、美意識の背景などを探る心理学、感性と感覚とも連動する色彩学のほか、人間工学・界面科学、生産工学・薬学・物理化学などの研究成果の集積品です。また、お客様それぞれの肌を守るための「皮膚のバリア機能」と「紫外線ケア」の研究も重要で、この日のメインテーマになりました。

皮膚のバリア機能については、測定器を使って希望者3名の状況を測りました。30代の男性、60代の男性、20代の女性(本学学生)の皆さんいずれも標準以上でしたが、中でも短期大学部のNさんは「パーフェクト!」と片桐氏に絶賛されるほどの素晴らしさでした。
また、皮膚のバリア機能を保つには「角層」の形成が重要で、身体の各部位においてそのバリア機能が異なっていることを示され、「眼瞼」や「頬」はバリア機能が弱いので特にケアする必要があるとのお話でした。

受講風景さて、皮膚にとっての大敵は「紫外線」です。紫外線が関わっている症状には、急性の日焼け・紫外線角膜炎など、慢性のシワ・シミ・悪性黒子や皮膚ガン、さらに白内障などがあります。紫外線によって皮膚の老化が加速する「光老化」も紫外線の害の一つであると話されました。長時間の紫外線暴露によって紫外線ダメージが蓄積すると、関連する疾患の発症率も増大します。無頓着な男性への警告でありましょう。
紫外線から皮膚を守るには、サンスクリーン剤を適切に用いることも大切です。「紫外線吸収剤」と「紫外線散乱剤」などを含むサンスクリーン剤は、適切な塗り直しによって、そのサンスクリーン効果が維持されます。
氏は、これら「美容皮膚科学」の難しい課題を、クイズを使いながら、誰にもわかりやすく解説されました。
UVランプを使って人工的日焼けをすることがファッションとしてもてはやされることに、WHOは悪性黒色腫の急増に結びついていると警鐘を鳴らしています。日本では、まだ紫外線ケアに啓発が必要ですが、オーストラリアやアメリカ合衆国などでは、近年、子どもの日焼けに高い関心を持って対策に取り組んでいることを示されました。目的に応じたサングラス、帽子の後ろから首を覆うように垂れるカバーから、日中の外出禁止に至るまで、世界中が紫外線の弊害を見なおすに至っています。
氏は、私たちの日頃の何気ない生活の一部を切り取って、そこから皮膚の科学、そして「科学的にものを観る目と心」の大切さを教えていただきました。
最後にお話頂いた、氏が交通事故による1年半の生死を彷徨う病棟生活で味わった挫折と光のお話は、絶望の淵にからはい上がった人でなくては語れない迫力でした。「美しく輝く真珠は、実はその核に、全く異質の物質を抱いている。悲しみや苦しさという異物を抱えたときには、しゃがみ込んでいいから、ゆっくりと美しく結晶してほしい」と参加者にエールを送っていただきました。聞く人の心を打つエピローグでした。

(文:今井春昭   写真:今井信一・野口晃一郎)

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