経営学部

「現代マネジメント研究」 第4回 若井敦子氏 講義

2017.06.07

2017年度 経営学部・シティカレッジ各務原/関 公開講座

第4回「現代社会におけるスポーツの使命とは」
西濃運輸株式会社空手道部監督・岐阜県議会議員 若井敦子氏

中部学院大学・中部学院大学短期大学部がその構成員となっている「学校法人岐阜済美学院」は、2018年に創立100周年を迎えます。
これに当たり、経営学部の前身である短期大学部経営情報学科時代から十数年間の伝統を誇る「現代産業研究」を新に「現代マネジメント研究」と改称して他学部・学科の教育課程の一部とするとともに、シティカレッジ関の皆様にも参加いただけるように生まれ変わって本講座がスタートしました。

宮地正直氏若井敦子氏

8回シリーズの第4回は6月7日(水)、西濃運輸株式会社空手道部監督であり、岐阜県議会議員でもあられる若井敦子氏に「現代社会におけるスポーツの使命とは」と題しお話しいただきました。

この日は経営学部・スポーツ健康科学部・短期大学部社会福祉の学生諸君、市民の皆様、大学関係者など約250人が拝聴しました。氏は空手道着を着用して、拍手の中を片桐理事長、古田・片桐両学長とともに会場に入られました。

演壇に上られる時の一礼を拝見しても、さすが、世界選手権4連覇という記録保持者だけあって凜としたした雰囲気が漂います。胸の日の丸とJAPANの文字も美しく映えます。

お話はまず監督業についてから始まりました。
氏は、西濃運輸の空手道部の監督を2007(平成19)年に引き受けられましたが、5年後には岐阜国体が迫っており、空手競技には得点源としての大きな期待がかかっていました。
悩みは尽きませんでしたが、あと3年というところで選手3人が入ってきました。
「少し前の人」(若井氏談)でしたが、この人たちを中心に若井氏の不屈の闘志に灯が点きました。練習場も会社の倉庫を確保し、会社からそこまでの道のりをロードワークのチャンスに変えてしまいました。
この「ピンチはチャンス」こそが、若井氏を今日あらしめている原動力でしょう。
国体では、あの「少し前の人」が核となって空手道競技の天皇杯(男女総合)・皇后杯(女子総合)を獲得し、岐阜県を総合優勝(天皇杯・皇后杯)に導いたのです。

氏の空手道人生は、どちらかといえば苦難の連続です。
4歳のときにバイクに跳ね飛ばされて頭蓋骨・脊椎などを損傷しての長い入院生活、身体機能回復のために小学生から始めた空手の道とナショナルチームへの夢の挫折はじめ、その後懸命に努力して全日本選手権7連覇中、世界選手権3連覇中という絶頂期に訪れた2003(平成15)年の第58回静岡国体での無名の新人に初戦敗退という屈辱などなど。
氏は、このような、ありとあらゆるものが壊れていく体験を、そのたびにエネルギーに変えてしまう底力を持っておられます。

その後、会場では、待望の「形(かた)」の披露が始まりました。1対1で闘う「組手(くみて)」と違い四方八方に敵がいることを想定して、見えない敵と闘う技です。
多くの形の技うち、氏が最も得意とされたのは「スーパーリンペイ」です。最高峰の技の一つで、世界選手権4連覇はこれにより達成されました。
小栗慎也君を指名されて、その一部を披露していただきましたが、会場は一瞬静まりかえり、そしてどっと沸きました。

また、VTRで拝見した2004(平成16)年のメキシコでの世界空手道選手権4連覇達成の模様には、会場から拍手が起きましたが、それは、若井さんの、試合中の勝つための一心の思いと、試合後、相手の手を取り深々と頭を下げられる敗者に対する深い思いやり、この二つの姿勢を皆さんが見逃さなかったからだと思いました。
そこに示された「自分の、人間としての成長を願う空手道の完成」こそ、不敗神話を生んだ無敵の若井選手がたどり着いた、真の頂上だったのです。

若井敦子氏

小栗慎也君を相手に型を披露
小栗慎也君を相手に型を披露

VTRを見る様子

氏は、ご講演の中で何度も、「何かに気づき、行動に移したときが適齢期」、「限界なんて、自分が作ったもの。どんどん超えていける」と述べられました。
「勝つだけでいいのか、いかに生きるかではないのか」を挫折の中で悟られた氏。
会場を去られるときに見せていただいたあの優しいまなざしが、政治の場で大きく花開くことを祈ります。

(文:今井春昭 写真:今井信一・野口晃一郎)

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