経営学部

2016年度 経営学部公開講座『現代産業研究』

第6回『今、よみがえる礼の心』
装賀きもの学院 院長 安田 多賀子 氏

6月29日(水)、今年度第6回の「現代産業研究公開講座・シティカレッジ各務原公開講座」を開催しました。講師をお願いしたのは、装賀きもの学院院長の安田多賀子氏です。
この講座は、経営学部の前身である短期大学部経営情報学科時代から十数年間の伝統を持つ授業で、市民の皆様方のご要望にお応えして一般公開してきたものを、各務原シティカレッジ(現シティカレッジ各務原)開設の2006(平成18)年度から両者の連携事業としているものです。この日は学生、和装が映える市民の皆様、大学関係者など約150人が拝聴しました。

装賀きもの学院 院長:安田 多賀子 氏
装賀きもの学院 院長:安田 多賀子 氏

メモを取りながら聞き入る聴講者
メモを取りながら聞き入る聴講者

小笠原総領家三十二世小笠原忠統宗家の直門生として各地で礼法講師をお務めの氏は、最初に、「礼儀作法とは一体何なのか?」と問いかけられ、「時と場所、相手との関係などにより自己の衝動や情感を制御する機能である」と定義され、さらに、相手を思いやり、心を表現する技術であり、そして人間社会のすべてに関わる文化であると断言されました。氏が範示された「礼は腰で」の所作にも、その気持ちが十分にうかがえました。

礼儀作法は歴史的背景を敏感に反映しており、例えば平安時代の公家のそれはすべての秩序を形成している「美」を根源としていると解釈され、「有職」と呼ばれるルールの上に成立しており、鎌倉以降の武家中心の社会では、弓や馬を扱う作法とその進退、主従の関係を固める儀式など、今に残る「三三九度」や「雑煮」のルーツなどが確かなものとなりました。鎌倉仏教の影響も受けた礼儀作法は、「道理」を根拠とする「武士道」として、世界各地で研究されています。
小笠原家は清和源氏の流れを汲む甲斐信濃源氏の嫡流で、代々弓馬の師範として活躍してきましたが、後に、これに礼法を加え、「一子相伝・お止め流」で嫡子のみに伝授されてきました。神髄を表す伝書には、「人は大かた、高きもいやしきも、人のために辛苦をするならいなり。(中略)惣じて、身にそうたほど、分際にしたがい、徳を諸人にほどこすべし」とあり、さらに、「躾さきに有りて、心につかば、これ身のすわりなり。また序なり、本なり、礼たる事、さて万事にわたり、礼という事なり。(中略)水は方円の器に従う心なり」とお話いただきました。礼は物事の規範であり、心身が調和した状態をいい、これを規範するものとしての「美」の存在が大きいとのことです。
さて、江戸時代に入ると、町人たちが「分」をわきまえながら社会の安定を保っていました。礼法が、わがままや勝手を許さない「けじめ」と、人としての信頼、約束を重んじる「義理」という形で社会秩序を形成してきたのです。このようにして小笠原流は、武家故実から発展して礼法一般にまで拡大し、やがて「冠婚葬祭」の基となったのです。
氏は、立ち居振る舞い、言葉遣い、服装のTPO、食事の作法、すべてが「礼は敬から生ずるもの」であるから相手を敬うところに本当の礼の心があると述べられ、精神的要素が大きい現代にあって、人間生活のすべてに関わる文化としての「礼儀作法」の重要性を強調されました。

「礼」の作法を行う安田講師
「礼」の作法を行う安田講師

花束贈呈
花束贈呈

また氏は、現在、国際ゾンタ26地区zクラブ委員長をお務めです。このたび、そのゴールデンzクラブとして認証を受けた中部学院大学ゴールデンzクラブの代表からお礼の言葉と花束を贈呈しました。なお、認証式の模様を伝えるパネルが正面玄関に飾られ、両学長とともにご覧いただきました。

認証式の展示パネルをご覧になる様子
認証式の展示パネルをご覧になる様子

(文:今井春昭 写真:村上進)

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